本書は、「動き」のデザインに関する新しい方法論を示すものです。プロダクト、デバイス、ロボットなどの人工物の動きの設計に携わるデザイナーやエンジニアに向けて、またスクリーン画面上のさまざまな動きを設計するデザイナーやアニメーターに向けて、動きの観察とデザインの新たなアプローチを提供します。
そしてもうひとつ、動きのデザイン論という本書の主題の裏に、「リサーチ・スルー・デザイン(RtD)」と呼ばれる、研究者(リサーチャー)自身がデザインの実践活動を通じて新しい知識の創出を図るという研究手法を詳らかにしています。本書は、リサーチ・スルー・デザインを基本姿勢として行ったひとつの研究プロジェクトを、一冊の本の中に丸ごと記録するという未だ類を見ない試みです。
推薦コメント
現在「動き」のデザインは、マンマシン・インタラクションからより広義の「動き」に広がっている。一造形要素としての「動き」のデザインにとどまらず、物質循環のような「動き」が注目を浴びる昨今においても本書が明らかにした設計方法論が応用可能であることは間違いない。理知的でありながらも感情的である本書の構成が、読者にとって「デザインにおける研究とは何か」という新たな地平を拓く手がかりとなることを期待したい。
──水野大二郎(京都工芸繊維大学)
「動き」に対する共感という「まだ名付けられていないもの」の謎を、歴史的、経験的、科学的、実践的に探求し、ついに「15の運動共感エレメント」へと到達する過程を自己言及的に記述した、スリリングなデザイン推理小説。
──久保田晃弘(多摩美術大学)