ヨゼフ・ミューラー゠ブロックマン
Josef Müller-Brockmann 1914–1996
1950–60年代にかけて隆盛したスイス派を代表するグラフィックデザイナーのひとり。当初はイラストレーションを主軸に置いていたが、1950年頃にサンセリフ体と幾何学的フォルムを用いた構成的デザインに作風を大きく転換。冷静かつ理知的でありながらも独特の明るさと分かりやすさを備えるデザインは、具象から幾何学的抽象へと進んだモダンアートとグラフィックデザインの関係、そしてデザイナーが社会でとるべき中立的立場を規範として示した。デザイナーとして活動するかたわら、教育活動にも注力し、チューリッヒ応用美術学校グラフィックデザインコースの科長(1957–60年)、ウルム造形大学講師(1962–63年)を務める。60年代から70年代にかけては日本でも特別講義・展覧会などを行った。1970年代に入ると、デザイナーとして長年培った経験と方法論をもとに著作活動にも従事、特にビジュアルデザインにおけるグリッドシステムの技術、理念をまとめた1981年の著書Grid Systems in Graphic Design(グリッドシステム)は、今なお世界中で参照され、原典的な評価を確立している。