徳井直生(Nao Tokui)
アーティスト/研究者
AIを用いた人間の創造性の拡張を、研究と作品制作の両面から模索。アーティスト、デザイナー、AI研究者/エンジニアなどからなるコレクティブQosmoを率いて作品制作や技術開発に取り組むほか、2023年設立のNeutoneでは、AIを用いた新しい「楽器」の開発を手がける。これまでに手がけた作品は、ニューヨーク近代美術館、バービカン・センター(ロンドン)、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)などで展示されているほか、MUTEKやSónarといったフェスティバルでライブ・パフォーマンスを行なう。Sónar+Dでの基調講演やアルスエレクトロニカの審査員なども務める。主な著書に『創るためのAI─機械と創造性のはてしない物語』(BNN、2021年。第30回大川出版賞受賞)。
跡見学園女子大学情報科学芸術センター特任教授
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了 博士(工学)
つくることとAI
生成と複製のあいだで
Description
絵を描くこと、曲を作ること、文章を書くこと。
そのプロセスを楽しむすべての人へ。
Artificial Intelligence(AI)=人工知能、とりわけ昨今急速に普及した「生成AI」を題材に、AIの進化が人間の「つくる」という行為にもたらす光と影を浮き彫りにし、創造性のあるべき未来像について考察した一冊。
生成AIの登場により、私たちの仕事や創作活動は劇的な変化を遂げています。誰もが簡単にそれらしい文章や音楽、絵を生み出せるようになった一方で、その見かけの生産性向上の裏で起きている本質的な変化に目を向けている人は多くありません。
生成AIとは何か。どのような仕組みで発展しているのか。私たちの創造性を拡張する存在なのか、自動化の道具にすぎないのか。本書では、生成AIがもたらす影響を5つの切り口から整理し、経済性の話が支配的なAIをめぐる議論に、創作というレンズを通すことで全く異なる論点を提供します。
筆者自身の実践的なプロジェクトやAIの探求の歴史を紐解きながら、効率化を極めたAIの先にある、人間とAIが共創するオルタナティブな未来を照らし出します。自らの手で「つくる」ことを手放さないために、私たちはAIとどう向き合うべきか。AIの本質を知ることで、創作行為の価値がかつてないほど鮮明に見えてくるはずです。
ISBN:978-4-8025-1355-5
定価:本体2,500円+税
仕様:A5判/224ページ
発売日:2026年7月15日
著者:徳井直生
デザイン:畑ユリエ
Profile
Contents
はじめに
第1章|AIと創造性
1.1 生成AIの明暗
AIスロップと搾取されるアーティスト/ヴァイブ・ワーク/「生成」という過大広告/生成AIのABCDEとF
1.2 「AIアート」の歴史と自動化 ─ Automation
「AIアート」の変遷/「生成」の嘘/プロセスを模倣するのか、結果を模倣するのか/「データ写実主義」の誕生
1.3 バベルの図書館のその後
第2章|生成AIの現在地
2.1 LLMの本質
大規模言語モデル(LLM)とは何か/「ブルシット」マシンとしてのLLM/トランスフォーマーが一変させた景色/賢さの正体を問う/理解という壁
2.2 創造力の射程
LLMは「考えて」いるのか?/答えのある問題と答えのない問題/問いを発明する能力/LLMの創造性/身体が生む創造性/高速道路は未知の大陸に続くのか?
2.3 平均への重力 ─ Averaging
平均への重力/最適化の落とし穴/平均化の先にあるもの/煮え切らない議論のすすめ
第3章|フクセイ技術としての生成AI
3.1 フクセイという新しい定義
ユニークだが、オリジナルではない/アーキタイプとエクタイプ/フクセイ技術としてのLLM
3.2 消費財化する創作 ─ Consumption-ization
消費のための技術としてのフクセイAI/創作と消費の狭間で
3.3 創作行為のボット化 ─ Botization
創作行為のボット化/透明性という最低限の誠実さ
第4章|つくるためのAI
4.1 探索の道具としてのAI ─ Exploration
AI DJプロジェクトの変遷/探索のための「楽器のようなAI」/テキスト・プロンプトとインスタント・コーヒー
4.2 表現行為を拡散するAI ─ Diffusion
Neutoneプロジェクト/DIY AIモデルと誤用可能性/Neutoneを用いた表現行為の「拡散」
終 章|つくり続けるためのAI
「つくる」を手放さないために
サーフィンからウォータースライダーへ/波に戻る
おわりに