ノエミ・ビアセットン(Noemi Biasetton)
ヴェネチアを拠点に活動するデザイン研究者、ライター、編集者。ボルツァーノ自由大学でデザイン&アーツの学士号、アイントホーフェン・デザイン・アカデミーで情報デザインの修士号、ヴェネチア・イウアヴ大学でデザイン科学の博士号を取得している。研究はデザイン文化とメディアを介した視覚的表現の形態に焦点を当てており、特にこれらが社会的・政治的次元においてどのように展開されるかに強い関心を持っている。実践にはエッセイや記事の執筆、トークや講演の企画、文化・教育機関の研究プロジェクトへの貢献などが含まれる。2022年からは、デザイン、建築、芸術、哲学の各分野の研究者や実務家との対話を通じて、デザインと文学の関係を探求することを目的に、ヴェネチアのデザインスタジオ「bruno 」による編集プロジェクト「Bookcloud 」のキュレーションを担当している。
www.noemibiasetton.com
スーパーストーム
イメージが溢れる時代の政治とデザイン
Description
政治はいかにイメージを纏うのか?
テクノロジーが答えを書き換え続けるいま、デザインの新たな座標を示す。
政治はイメージで動いている。選挙ポスターからロゴ、SNSのミーム、バイラル動画まで──。
今日の政治的コミュニケーションは、視覚的なイメージの生産・流通・消費によって成立しています。しかし、その渦中にいるはずのデザイナーたちは、イメージが溢れる“メディア”の正体を直視することができていません。デザイン制作物を介さないインタラクション、アルゴリズムによる増幅、ディープフェイク、AI支援の宣伝工作──それらはいつしか、政治が営まれる日常の一部と化しました。著者がこの制御不能な情報環境に与えた名前は、「スーパーストーム」。政治コミュニケーションとニューメディアテクノロジーが絡み合うことで生まれた、誰も予測できない速度と規模で拡大し続けるイメージの嵐です。
本書は、1960年代から現在に至るまでの政治、社会、メディア、テクノロジー、そしてデザインの関係を横断的かつ批判的に読み解きます。オバマ、トランプ、ブレグジット、イタリア極右のSNS活用、コロナ禍で一変した選挙のネット戦略など、具体的な事例を通じて政治的ビジュアル文化の60年を解剖します。嵐に名前をつけ、集団的に語ること──それが、嵐のなか航行するための一つの方法であるはずだ、と。
2024年に英語版(Onomatopee)、2026年にイタリア語版(Krisis Publishing)が刊行され、世界的に注目を集める待望の日本語版。デザイン・メディア・政治に関わるすべての人に手に取ってほしい一冊です。
ISBN:978-4-8025-1378-4
定価:本体3,200円+税
仕様:A5判変型/260ページ
発売日:2026年9月16日
著者:ノエミ・ビアセットン
翻訳:清水玲奈
デザイン:市東 基(ブックデザイン)、平野雅彦(レイアウト)
Profile
Contents
読者へ―著者による解題
[解説] コミュニケーションデザイナーの居場所──日本における「スーパーストーム」 飯田 豊
[序文] よそ見するボーイフレンド シルビオ・ロルッソ
はじめに
-スーパーストームというメタファーについて
-スーパーストームを読む
-本書の構成
-研究についての留意点
第1章 スーパーストームの系譜
ニューメディア、政治、そしてデザイン
-「照明、カメラ、アクション」
-悪いメディア/良いメディア
-希望と不信
-ウェザー・リポート 第1号
第2章 スーパーストームの解剖
メディア化された世界におけるデザインの問題
-主体性とスペクタクル
-媒介の再構築
-作者性の問題
-ウェザー・リポート 第2号
第3章 デザインとスーパーストーム
政治を伴うデザイン/政治についてのデザイン/政治の中のデザイン
-政治を伴うデザイン
バラク・オバマの2008年大統領選挙キャンペーン
ヒラリー・クリントンの2016年のロゴ
-政治についてのデザイン
スティーブ・バノン:プロパガンダ回顧展
-政治の中のデザイン
「獣」
ジュゼッペ・コンテの娘たち
-ウェザー・リポート 第3号
結論
-古い武器、新しい闘い
-ポスト・ノスタルジーの実践に向けて
-スーパーストームを乗り切る