Chapter 1
人工生命とは何か
1-1 新たな自然をつくり出す
生命を人工的に再現する/人工生命のパイオニア/強いALifeと弱いALife/構成論的な対象の理解/人工生命のグランドチャレンジ:オープンエンドな進化/人工生命の5つのレベル
Chapter 2
身体性
2-1 身体と環境がつくり出す創発現象
身体を通じて環境を知覚する/身体性が異なると環世界も異なる/身体化された認知/ロドニー・ブルックスが唱えた「表象なき知性」
2-2 人工進化で創発をデザインする
遺伝的アルゴリズム/人間のバイアスを取り除く/進化する仮想生物
2-3 ソフトな仮想生物
仮想生物の進化が直面した課題/ニューラルネットワークを進化させる/幾何学的なパターンをコンパクトに表現する/シムズを超える仮想生物の誕生
Chapter 3
相互作用
3-1 個体間の相互作用がつくる創発現象
集団がつくる新たな振る舞い/エージェント・ベース・モデル/生命のパターンをつくり出すライフゲーム/群れをシミュレーションするボイドモデル
3-2 自然界における鳥の群れ
トップダウンからボトムアップな理解へ/鳥の群れとボイドモデル/一羽の動きが群れ全体に伝わる/モデル自体の探求が新たな理解をもたらす
3-3 協調的な集団
対立する個人の利益と社会の利益/囚人のジレンマゲーム/繰り返しの囚人のジレンマゲーム/寛容さが強みとなる「しっぺ返し戦略」/架空の選手権/ノイズ入りの囚人のジレンマゲーム/ノイズが進化の鍵となる
Chapter 4
集団の進化
4-1 自己複製のエラーがもたらす進化
人工生命が直面する進化の課題/進化の根幹をなす「エラー」/進化の可視化/フォン・ノイマンの自己複製オートマトン/自己複製から進化の研究へ/進化の鍵を握る寄生体
4-2 集団として進化する
試験管内で進化するRNA/寄生体を取り込んで進化する/自己複製から他者を取り込んだ進化へ/宿主と寄生体の共生条件
Chapter 5
インターネットの進化
5-1 インターネットの生命性
生命圏を築くインターネット/「カオスの縁」へ向かうインターネット/ソーシャルメディアの臨界現象/システムの適応性を高める「キーストーン種」/不安定だからこそつくられる安定
5-2 新しさをつくり出すメカニズム
文化の遺伝子ミーム/進化するミーム/すでに人気のミームにはさらに人気が集まる/新しいミームは隣接可能空間で生まれる/直感に従えば新しいアイデアが見つかる/隣接可能空間の妥当性/新しいものが「バズる」仕組み
Chapter 6
オープンエンドな進化
6-1 人工生命が目指すオープンエンドな進化
集合知から考える発散的な探索/群衆の知恵と集団的知性/収束型の集合知と発散型の集合知/発散的な探索を実現するために/共通の目的をもたない
6-2 発散型の探索をコンピュータで実現する
遺伝的アルゴリズム──収束的な探索/過去と現在を比べる/目的は誤ったコンパスになる/単純なものから複雑なものへ/思わぬ行動が目標達成の足がかりに
6-3 競争を避け共存する
生態学的ニッチ──多様な生物が共存できる仕組み/競争を避けて多様性を生み出す/多様性と品質のバランスをとる/故障しても歩き続けられるロボット/偶然を呼び寄せる/イノベーションは一直線には進まない
6-4 環境の変化が進化を促す
脳と環境の共進化/新しい環境で試す/新しい環境の生成/難しい課題は直接解決できない/オープンエンドな進化アルゴリズムの実現に向けて
Chapter 7
より生命的なAIへ
7-1 人工知能から人工生命へ
人工生命と人工知能の融合/深層学習を取り入れ進化する人工生命/ルールを自動学習するセルラー・オートマトン/深層学習の課題を解決する人工生命/環境の変化に適応する人工生命/少ないヒントから答えを導く人工生命/より生命的なAI、より生命的な人へ