草野絵美 Emi Kusano
1990年東京都生まれ。AIなどの新技術を制作に取り入れ、ノスタルジア、ポップカルチャー、集合的記憶をテーマに多領域を横断して活動するアーティスト。過去と現在の対話をレトロフューチャーな美学のもとに可視化することで、現代社会を捉え直す視点を投げかけている。M+(香港)、サーチ・ギャラリー(ロンドン)、グラン・パレ・イマーシフ(パリ)、金沢21世紀美術館などの主要機関で作品を発表。Bangkok Art Biennale 2026に参加したほか、Art Basel Hong Kong、Frieze Seoul、Paris Photoといった国際的なアートフェアを含め、世界20カ国以上で作品を発表している。そのキャリアの原点である原宿のストリートスナップは、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(ロンドン)で展示された。これまでに、SFの金字塔『攻殻機動隊』の公式アートプロジェクトや、クリスティーズとGucci、およびUNHCRとのコラボレーションオークション等に参加。世界経済フォーラム(ダボス会議)より、2025年に「ヤング・グローバル・リーダーズ」、2026年には「カルチュラル・リーダーズ」に選出された。東京藝術大学非常勤講師を経て、文化庁文化審議会著作権分科会の委員を務めるなど、実践者の視点からAI時代における作家性や権利の在り方について議論を牽引している。
レンズのない写真論(仮)
エンド・オブ・ノスタルジア
Description
AIと撮る、まだ見ぬ記憶。
「私たちは、忘れることをやめた最初の世代だ」。
共通の記憶が解体された現代。誰もが自分だけの宇宙を生きる時代に、かつて原宿のストリートを撮っていた著者は、新しい「カメラ」としてAIを手に取ります。記録(データ)があふれるほど遠ざかる懐かしさを、潜在空間から撮り直すために。
AIモデルとは人類の記憶が溶け込んだ現像液であり、プロンプトはその光である──誰もが膨大な画像を生み出せる今、アーティストは何のために表現を追求し、どう作るのか。デジタルアートの最前線に立ち会ってきた著者が、新しい創作の作法を示します。
ISBN:978-4-8025-1376-0
定価(予価):本体2,800円+税
仕様:A5判変型/288ページ
発売日:2026年11月18日
著者:草野絵美
Profile
Contents
Introduction
End of Nostalgia:ノスタルジアの終焉
Chapter 1 CONTEXT:The Convergence──収束する個人史
観察者としての目覚め|架空の昭和を演じる|機械が見る夢
Chapter 2 METHOD:Generative Curation──選択という創造
レンズのないカメラ|私的な正解|自我の複製
Chapter 3 PRACTICE:Hallucinations as Pigment──幻覚を色彩にして
存在しない記憶|偏見をハックする|仏教とAI
Chapter 4 PROTOCOL:Ethics of the Synthetic──合成される記憶の作法
拒絶の系譜|テクノ・アニミズム |開示という儀礼
Chapter 5 VISION:Dystopia and Utopia── 一回性の価値
画面の外の真実|有機体のコスト|一回きりの人生というアート